
令和4年度となりました。市民病院の地方独立行政法人化後、第三期中期計画の半分である2年が過ぎました。新型コロナウイルス感染症にも何となく慣れてしまったようで、大多数はきちんと鼻までマスクで覆い、会話も静かにして生活しています。オリンピックもパラリンピックも終わり、世の中が静かに落ち着いた印象です。そういえば、オリンピックでクラスターが発生したという話はついぞ聞かなかったような…。やはり、しっかり対策を講じて気をつけていれば、そうそう拡がるものではないのですね。それでは、感染を拡げているのはどんな人たちで、何をしているからか、もう誰が考えてもわかるようになりました。それから遠ざかっていれば大丈夫、これが慣れというものでしょう。
ワクチン接種が進み、入院するほどの重症になるのを防ぐ効果が表れています。ワクチンを「陰謀」だとして強硬に反対する団体が、ワクチン接種を妨害するために会場に無断侵入したそうです。ワクチンというのは、天然痘に対する種痘から始まった人類を救う叡智のはずです。体質的に受けられない人は気の毒ですが、人が受けるのを妨害するのは論外ですね。
目下の世界の問題は、ロシアによるウクライナ侵攻です。プーチン氏にも自分なりの理由はあるのでしょうが、どうしてもウクライナの独立独歩が嫌いなようです。情報統制が強化されたロシア側の報道と違い、ウクライナはSNSを使って惨状を世界中へ発信しているのが今回の戦争の特徴です。
2002年に、武装勢力がチェチェン共和国の独立を要求して起きたモスクワ劇場占拠事件で、ただひとり生き残った犯人は扇動役をしていたクレムリン側の顧問をしていた男だったそうですから、ロシアの紛争の起こし方は推して知るべしです。特殊任務部隊が鎮圧に使用し、100数十人の人質が亡くなった原因の有毒化学物質や核兵器が、ウクライナで使われないことを祈るばかりです。
さて、市民病院は新型コロナウイルス感染症の影響で1年遅れていた病院機能評価の更新審査を令和3年12月に受審し、令和4年3月4日に更新が認定されました。評価内容は6年前の前回よりもはるかによい結果でした。前回受審後、職員皆で多くの点を改善することに努めてきた総決算でしたから、認定されただけでなく、高い評価を得たことが、ことのほか嬉しく感じられました。1年遅れでしたので、次回更新は5年後でなく4年後と早くなりますが、大丈夫です、けっこう自信もつきました。
次に近いハードルは、2024年に適用される「医師の働き方改革」です。当院では早くから各所にタイムレコーダーを設置して、勤務時間の把握をしっかり行っていますので、さほど問題はありません。しかし、「医師の働き方改革」は、仕事量に対して沢山の職員を雇用できるほど医療費が高い(日本のほぼ10倍)アメリカと異なり、絵に描いたようにはなかなかいかないかも知れません。北欧諸国では、教育が無料で受けられる、医療費も無料だと良い面がよく強調されますが、日本の2.5倍もの消費税がそれを可能にしていることは、あまり報道されません。この二つの事情、どこか似ていませんか?
「医師の働き方改革」は、どこかにしわ寄せが来ないように注意しながら進めないといけません。診療を受ける患者さんやご家族が不便な思いをされないように皆で知恵を絞ってみましょう。